【取材】ココロデイサービスまえばしの建物を 空調会社が設計・施工したワケ

2018年9月3日、前橋市総社町にオープンした「ココロデイサービスまえばし」。桐生市周辺を拠点に展開している「ココロ」が、初めて群馬県の県庁所在地・前橋市に、半日タイプのデイサービス施設をつくったのです。
 まず目を引くのは、まるでカフェのようなオシャレな建物です。その設計・施工を手掛けたのは群馬県榛東村に本社を構える「㈱三機工」。空調設備や大きな工場の特殊配管事業をメインとする会社です。なぜ、「ココロ」は住宅メーカーでなく、「㈱三機工」を選んだのでしょうか。その理由をさぐるべく、同社の一級建築士で、この建物の設計を手掛けた北澤篤也さんに話を聞きました。

取材・撮影/阿部奈穂子

90畳の大空間を一年中快適に保つ

 「ココロデイサービスまえばし」の館内には、約90畳の大空間が広がっています。その中に、機能訓練をするアクティブコーナーやストレッチコーナー、カフェコーナーなどいくつかのコーナーがありますが、仕切りは一切設けられていません。
「利用者さんがのびのびと過ごせるよう、また、スタッフの目がすべての利用者さんに行き届くよう、仕切りをつくりたくない、というお話がまず、雅樂川社長からありました」と北澤さん。
問題は、一年を通して、この大空間を快適な温度、湿度に保つこと。そこで、「㈱三機工」の力が買われたというわけなのです。
「当社のメインは空調設備。社内には空調設備を手掛ける設備事業部と建築事業部があり、2つの部署が連携して建物を建てます。そのため、どこにどれだけエアコンなどの空調設備を設けると最高に心地良く、効果的かを、設計の段階から考えていくことができるのです」と北澤さんは話します。
 

COCO-LO代表雅樂川陽子/㈱三機工北澤篤也さん

取り付け位置まで細かく配慮

「ココロデイサービスまえばし」の建物はグレードの高い断熱材を使用し、さらに、大空間には天井埋め込み型のエアコンを10台設置しています。これほど多くの台数を設けたのは、「コーナーごとに最適な温度があるため。例えば、癒しコーナーは少し暖かめが心地いいですし、体を動かすアクティブコーナーは涼しい方がいい。その微妙な調節をするのに便利だからです」。さらに、利用者さんに直接、風が当たらないよう、ベッドやテーブルの位置を細かく配慮して、空調機器の取り付けを行っています。

 
また、寒い時期に備えて、ポカポカと足元から温まるガス式の床暖房も設置。「熱い空気は上へ上がります。その熱を外へ逃がす換気システムを小屋裏に設けています。これらが相まって、一年中館内は快適で心地よい空気に包まれているのです」と北澤さん。
「利用者さんの体に優しい環境をつくりたい」、ココロデイサービスまえばしの建物には、そんな思いがたっぷり詰まっています。

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