「ココロ秋祭りin きりゅう」が11月12日、桐生市の有鄰館で開かれました。マジックやキッズのヒップホップダンスを見たり、マツケン体操やソーラン節を踊ったり、メニュー豊富なフードに舌鼓を打ったり…。約150人が楽しい秋の一日を過ごしました。秋祭り実行委員のリーダーで理学療法士の松澤良輔さんに話を聞きました。
取材/阿部奈穂子(オリーブ・アンド・パートナーズ)
非日常感を味わいながら…
有鄰館は、味噌や醤油、酒を醸造し保管するために江戸から昭和にかけて建てられたレトロな蔵です。「ここを会場にイベントをするのは3回目。利用者さんからは非日常感が良かった、知らない場所で新鮮だったと好意的な声をいただいています」と松澤さん。
実は、実行委員の間では心配もあったといいます。入口に段差があったり、歩道がでこぼこしていたり、洋式トイレの数が少なかったり。「ハード面を変えるのは難しい。危なそうな場所にはスタッフを多く配置し、安全第一で行こうと決めました」
マジックやダンスに大きな拍手
プログラムはマジックショーからスタートしました。ステージに立ったのは車椅子の若い男性です。脳性麻痺を乗り越えて、車椅子マジシャンとして活躍するSUNさんがカードマジックなどテーブルマジックで会場を大いに盛り上げてくれました。
続いて、ヒップホップダンスの発表会です。キッズチーム、先生チーム合計4チームが6つの演目を披露。「手拍子をしたり、写真や動画を撮ったり、利用者さんもそのご家族も楽しそうにご覧になっていました」と松澤さん。
スタッフの直談判でキッチンカー出動
今回の秋祭りでは「食事を楽しんでもらおう」というのが大きなコンセプトだったといいます。実行委員の会議でも食事の内容を決めることにたくさんの時間を使いました。
当日は桐生市の豆腐屋「とうふ工房味華」の肉巻き豆腐のロコモコ丼、銀だこ6個セット、ベビーカステラ、焼きそばなどのテイクアウトメニューを用意したほか、キッチンカーも2台、会場に来てくれました。つぼやき芋「shimo」さんとりんご飴を提供する「りんご好き」さんです。
「夏ごろ、shimoさんとりんご好きさんが出店しているイベントにスタッフが直接行って、『ココロの秋祭りに来てください』と交渉したんですよ」と裏話を教えてくれました。
利用者さんからは「キッチンカーで初めて食べた」「とても美味しかった」といううれしい声が寄せられました。
音楽と踊りで一体感
プログラムの後半はマツケン体操とソーラン節です。「利用者さんも一緒に参加できる演目も必要ではないか」と、10月前半ごろ、急遽、加えたプログラムだそうです。
マツケン体操は、お馴染みの「マツケンサンバ」を誰でも踊れるようにアレンジした体操。ココロデイサービスで以前、運動プログラムとして取り入れていたものを今回、みんなで踊ることにしたそうです。
マツケン役は理学療法士の猪熊哲朗さん。白塗りとかつらがよく似合う猪熊さんが登場すると、会場が大きな拍手と歓声に包まれました。
ソーラン節は、事前に練習を積んだココロスタッフによる出し物。一曲終わったとたんにアンコールの声が飛び交い、再度、利用者さんとそのお孫さんも含めて一緒に踊りました。「音楽と踊りで一体感が生まれました。やって良かった」と振り返ります。
表で裏で尽力してくれたスタッフに感謝
会場では生活雑貨やパン、手指のリハビリ道具などのマルシェも開かれ、大にぎわい。「普段、買い物する機会がないからうれしいね」と笑顔の利用者さんたち。
「準備は大変でしたが、利用者さんが喜んでくれて良かった。事故がなかっただけでも満足でしたが、さらに盛り上がっていたのを見て感動しました。表で裏で尽力してくれたスタッフに感謝です」と感想を話す松澤さん。
利用者さんとご家族、スタッフ、それぞれの心に残る大切な一日となったようです。