COCO-LO 初めてのバス旅行企画 実現までの舞台裏と大好評の要因を公開します!

10月 20 日の秋晴れの中、 COCO-LO 初、利用者さんと一緒に行くバス 旅行 が開催されました。
行き先は東京の新名所・スカイツリーと寅さんの街・葛飾柴又です。
参加した方々からは「 もう 旅行は無理と諦めていたのに、また 行ける なんて!」「 すごく 楽しかった!」など大好評 。
利用者さんの想いを汲んで、旅行を企画し、準備を進めてきた 安藏武司さんと二星美樹さんに 、バス旅行実現までの裏話を聞きました。
(取材/オリーブ・アンド・パートナーズ 阿部奈穂子)

 

きっかけはグアムのホテルで見た車イスの団体客

そもそも 今回のバス旅行 がなぜ企画されたのでしょうか? それは旅行好きの安藏さんが4年前、グアム へ 行ったとき、現地のホテルで車イスに乗った 30 人くらいの団体客を目にしたことがきっかけでした。
中には、点滴を打ちながら参加している人もいたとか 。
「事前準備 を しっかり整えて、専門のスタッフが付き添えば、車イスでも海外旅行ができるんだ」、安藏さんは 大きな 衝撃を受けたそうです。
COCO-LO では年間とおしてさまざまなイベントを行っていますが、旅行は実施したことがありません。
でも、安藏さんの心の中では、「 泊まりは無理でも、日帰り旅行なら、COCO-LO でも できるのではないか」という思いが沸きあがってきました 。
そして、「電車ではなく、バスを使えば移動も楽。車イスのまま乗り込めるバスもある。
そうだ、バス旅行がいい!」と思い立 ったそうです。
社長の雅楽川陽子さんに相談したところ、「面白い 。思い切ってやってみようか 」ということになりました。

 

不測の事態に備えて徹底的に準備するのがCOCO-LO 流

今年 4 月、旅行の企画チームが結成されました。
安藏さんとココロアットホームの相談員・二星美樹さん、訪問看護ステーションココロの理学療法士・猪熊哲朗さんの3人です。
安藏さんから、「利用者さんを連れて旅行に行きたい」という計画を聞いたとき、二星さんは正直、「大丈夫だろうか。何かあったらどうするんだろう?」と不安の方が大きかったと言います。
日ごろから、利用者さんと接している二星さんは、「転んだら?」「トイレは大丈夫?」など、
リアルにいろいろな事態が頭の中をよぎってしまったのです。
しかし、不安があるからといって、一歩を踏み出さないのはCOCO-LO のやり方ではありません。
どんな事態が起きても対処できるよう徹底的にリサーチや事前準備を行い、スタッフの力を結集して、新しいことにチャレンジするのがCOCO-LO 流です。「やってみよう」、二星さんも心を決めたといいます。

 

体に負担がかからず、楽しめるプランづくりに難航

まず難航したのは、行先選びだったといいます。
集合場所であるココロデイサービスからバスで2時間圏内ということで、東京スカイツリー、ひたち海浜公園、昭和記念公園が候補にあがりました。
一度は四季折々の花が咲き誇るひたち海浜公園に決まりかけていましたが、園内を周遊するシーサイドトレインが問題でした。「乗車の予約ができないため、他のお客様に混じって長い列に並ばなければいけない。それでは利用者さんの体に負担がかかってしまう。また、屋根のある場所がほとんどないため、悪天候だったらどうしようと考え、ひたち海浜公園は断念しました」と安藏さん。
そして決まったのが東京スカイツリーです。話題の新名所であること、屋内施設のため天候に左右されないこと、館内はバリアフリーであることなどがその理由です。
苦労したのは昼食場所の確保。東京スカイツリーの中にもレストランがありますが、団体用ではないため、いくつかの店舗に分散して食事を取らなければいけません。そのため、スカイツリーは見学のみ。
その後、バスで5~6分の浅草に移動して、「雷5656会館」という団体客が利用できるレストランで昼食を取るというプランにしました。

 

葛飾柴又の商店街は動画を撮影し、事前チェック

 

次に考えたのは昼食後のスケジュールです。
どこか散策できる場所はないだろうか、浅草寺や仲見世通りはいいけれど、なにせ人が多すぎる。安藏さんと二星さんがいろいろ検討していたとき、旅行会社の人から、「葛飾柴又の商店街はどうでしょう?」と提案されたといいます。
「葛飾柴又といえば寅さんの街。利用者さんにも喜ばれるに違いないと思いました」と二星さん。
その数日後、東京出張に出た安藏さんは、帰りに葛飾柴又を訪れ、商店街の様子や公衆トイレの内部を動画に収めてきました。「トイレは清潔でバリアフリー、手すりもある。商店街の道路は平坦で、タイル貼り。これなら利用者さんも楽に歩けるし、車イスも押すことができると安心しました」と二星さんはニッコリ。
こうして、旅行プランが決定。チラシをつくり、利用者さんに配布したところ、44 人もの人が参加してくれることになりました。

 

利用者さんの喜びの声に「計画して良かった!」

当日はCOCO-LO のスタッフ22 人と事業所の車イス8台を動員。
車イスは、疲れて歩けなくなった人がいつでも利用できるようにという配慮です。
そのほか、思いつくものをすべてバスに積み込んだという二星さん。それでも、「出発するまでは、いろいろな心配が頭をよぎり、心は落ち着きませんでした」と話します。
帰りの道中、思いがけない言葉を利用者さんから聞きました。
「いつも車イスのA さんが展望台では立ち上がって、下の景色を見ていたよ。それだけでもこの旅行は大きな価値があったね」。そのひと言で、「今までの苦労が吹き飛びました」とほほ笑む二星さん。
後に行ったアンケートでも、「片麻痺の私がバスに乗って旅行できたことを、一生忘れません」「車中で他の利用者さんとたくさん話ができて楽しかった」など、嬉しい声がたくさん寄せられました。
そして、何よりも「COCO-LOスタッフの動きが素晴らしかった。日ごろからたくさんのイベントを行っている成果だと思いました」と二星さんは話します。
初のバス旅行は大成功。安藏さんはもうすでに、次の旅行の行先をリサーチし始めているとか……。


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