COCO-LOにキャラクターができました。それは「フワンとポノン」。雲の上の世界に住む妖精だそうです。見ているだけで笑みがこぼれてくる、この可愛らしいキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか。フワンとポノンの生みの親である、COCO-LO代表取締役・雅楽川陽子さんとイラストレーター・カナイサワコさんに伺いました。
取材・撮影/阿部 奈穂子(オリーブ・アンド・パートナーズ)
――まず、COCO-LOのキャラクターをつくろうと思った理由を教えてください。
雅楽川 COCO-LOは創業15周年を迎え、私が言うのもなんですが、真面目で正統派の介護会社というイメージが定着してきたような気がします。でも、私自身、あまり生真面目な性格ではありませんし、スタッフもみんな個性的です。
また、介護というと、「きつい仕事」「大変そう」「近寄りにくい」とイメージを持つ方がまだまだ大勢いらっしゃいます。
それらをすべて払拭するような可愛らしくて個性的で夢のあるキャラクターをつくりたかったのです。そのキャラクターを通じて、「COCO-LOっておもしろい会社だなあ」とか、「介護に親しみがわくなあ」と、思ってくださる人が増えればと考えました。
――そしてイラストレーターのカナイサワコさんに依頼したのですね。
雅楽川 はい。2018年の春ごろ、社長の勉強会で知り合ったフリーのディレクターさんを通じて、カナイさんをご紹介いただいたのです。カナイさんは前橋市在住で、お仕事もイラストレーターやデザイナー、アートディレクターなど幅広くこなされている多才な方です。
――次にカナイさんに伺いますが、どんな風にキャラクターをつくっていったのですか?
カナイ まず、雅楽川社長と徹底的にイメージのすり合わせを行いました。雅楽川社長から「動物のキャラクターは避けてほしい。ありふれているので」というお話があったため、キャラクターは人間または想像上の生き物にしようと決めました。そして3案をつくりました。1つは、羽を持つ宇宙人、2つ目は鳥に乗った子ども、3つ目が雲の上の世界に住む妖精でした。
雅楽川 ひと目見て、妖精たちの可愛らしさに惹かれました。スタッフも全員一致で「コレがいい」と。
――それがフワンとポノンになったわけですね。フワンは髪に、ポノンはネクタイに鳥をモチーフにした飾りをつけていますが、鳥にはなにか意味があるのですか?
雅楽川 ココロのロゴマークは手のひらと鳥です。これは私の中学時代の同級生が描いてくれたものなのですが……。彼女に言わせると、私は「小さな鳥」のイメージなのだそうです。そのため、カナイさんにもキャラクターのどこかに鳥を使ってください、とお願いしました。
カナイ この鳥は良かったです。いいアクセントになったと思います。
――下絵が終わったら、次に色づけ作業に入りますね。色づけで苦労したところはどこでしょう?
カナイ はじめはパソコンで絵を描き、パソコンで色づけをしていたんです。でも、どこか機械っぽさが抜けきれなくて。雅楽川社長も「温かみのあるキャラクターにしたい」と強調されていました。そこで、トレーシングペーパーにアクリルガッシュ絵具を使って、手描きで制作することにしました。あえて、塗りムラや色のはみ出しをつくり、それが温かみにつながったと思います。こうしてキャラクターの原画ができあがりました。
雅楽川 そのあとがまた、大変だったんですよね?
カナイ はい。原画を印刷物に使うには、パソコンに取り込まなければいけません。原画を写真に撮り、パソコンに取り込んで、パソコン上で再度、色を原画に近づける作業がなかなか大変でした。パステルに蛍光カラーを混ぜた複雑な色なんです。原画と見比べながら、数日かけて色の調整を行いました。
――そんなご苦労が実を結んで、出来上がったキャラクター。雅楽川さんはどこが一番好きですか?
雅楽川 雲をイメージした髪の毛のシルエットがものすごく可愛いと思いました。苦労して出していただいた色も気に入っています。袖のカタチ、表情、すべてにこだわりを感じます。
――早速、COCO-LOでは、フワンとポノンのTシャツをつくられたそうですね。
雅楽川 はい。6色展開で90枚つくりました。発売日前より注文を多く頂き、1週間で売り切れ、追加発注に追われることになるとは思いませんでした。利用者様が「可愛い」と気に入って、ご購入くださったのです。今後、COCO-LOのイベントの際、スタッフが着用するTシャツにもフワンとポノンの絵を入れることにしました。
――それはすごい。今後、このキャラクターをどのように使っていくのでしょうか?
雅楽川 カナイさんとお話させていただいているのは絵本をつくること。介護本もいいですね。フワンとポノンが介護についてわかりやすく解説するような本があれば、子どもや若いお母様たちも気軽に手に取れると思います。Tシャツ以外のグッズ、例えばラバーキーホルダーなどもつくっていきたいと思います。
カナイ それをマルシェなどで販売したらどうでしょう? 広く一般の方に周知してもらえるのではないでしょうか。従来の介護会社とはまったく違う斬新な発想がCOCO-LOの素晴らしいところ。ぜひ、フワンとポノンがお役に立ちますように……。
――フワンとポノンが介護の世界に新しい風を吹かせるかもしれませんね。お二人とも、今日はありがとうございました。