「リーチ!」「ロン!」、ココロアットホームに威勢の良い声が響きます。この日は年に一度の「COCO-LO麻雀大会」です。今年の大会は第10回目、参加者数は10人、さらに、会場であるココロアットホームは開設10周年。3つの10が重なった縁起の良い大会となりました。その様子をリポートします。
取材・撮影/阿部奈穂子(オリーブ・アンド・パートナーズ)
カラフルな
COCO-LO専用麻雀台が登場!
「ココロの事業所では利用者さんが時々、麻雀をやっています。いつも同じメンバーではなく、たまには他の事業所の人とも対戦したいという声を受け、10年前から1年に1度の麻雀大会が行われるようになったのです」と、大会リーダーで、理学療法士の田中聖之さんは言います。
会場はココロアットホーム。その理由は、広い空間があることと、専用の麻雀台があるためです。ココロアットホームを開設したとき、もらい受けた中古の台に、青やピンク、オレンジなどカラフルな色を塗り、会社のロゴマークも入れた、まさにCOCO-LO仕様の麻雀台。
「重量があり、場所を取るので、普段は倉庫の中に納めているのですが、大会の日には、晴れてお披露目になるのです」と田中さん。
今年の参加者は男性9人、女性1人の合計10人。麻雀は4人で行うのが原則なので、COCO-LOスタッフで、麻雀歴の長いベテラン・中島孝さんと「学生時代からよく麻雀やっていました!」という若手・星野優也さんがメンバーに加わり、麻雀台3台12人での大会となりました。
昭和歌謡が流れる中、
ジャラジャラと牌を混ぜる音
ルールは、80分間で対戦を行った後、メンバーチェンジをして再度、80分間戦います。その間にどれだけ点棒を稼いだかで順位が決まります。
ムーディーな昭和歌謡が流れる中、いよいよ大会がスタート。ジャラジャラと麻雀牌をかき混ぜる作業は、COCO-LOの5人のスタッフがお手伝いします。
参加者の一人、Sさんは今回で8度目の出場だと言います。「仕事をしていたときは、よく雀荘に通っていたけれど、55歳で脳梗塞をして、それからぱったり、麻雀から遠ざかってしまったね」と話します。しかし、ココロデイサービスに通うようになってから、再び、麻雀を始め、3年前の大会では見事、優勝に輝いたそうです。今回も幸先上々の様子。
「麻雀の面白みを知るには、まず136枚の牌を全部覚えることだね」と教えてくれたのは、参加者のSさん。覚え方としては、34種類の牌が4枚ずつあるので、その種類を覚えることが第一。さらにその34種類を特徴ごとにまとめていくことで、案外、簡単にマスターできるそうです。
頭を使う+指先を使う
脳に良い刺激を与えるレジャー
「おおー!」。突然、中央のテーブルから歓声が沸きました。メンバーの一人が役満で上がったようです。「参ったなー。惨敗だなあ」と言いながらも、まんざらでもない様子で、点棒を手渡す他のメンバーたち。勝っても負けても、和気あいあい。なごやかな雰囲気で大会は進んでいきます。
田中さんは理学療法士としての観点からこう話します。「麻雀はコミュニケーションを育むと同時に、とても効果的なリハビリになるんですよ」。
役を揃えるために、どの牌を捨てたら良いのか、他人の捨て牌を見ながら、いろいろなパターンで考えなければいけません。これはとても頭を使う作業です。
また、小さい牌を並べたり、動かしたり、常に指先を使います。日常生活で麻雀のように長時間、細かに指先を使い続ける機会などめったにありません。
「頭を使う+身体を使う。これをリハビリの世界では二重課題と言います。二重課題を行うことは、脳の前頭葉の部分に活力を与えると言われているんです」と田中さん。
なるほど、麻雀は楽しいだけでなく、脳にも良い刺激を与える理想的なレジャーのようです。
優勝者には優勝カップと
実用的で嬉しいプレゼントが
そして、160分に及ぶ戦いに幕が下りました。今年の優勝者はKさん、準優勝者はTさんです。
優勝者には優勝カップが送られました。
「毎年、開催しているイベントで、本当に喜んでいただけてこちらも嬉しかったです。長時間でしたが皆さん真剣に取り組んでいました。」と田中さんは言います。
「楽しかったなー」と言いながら、晴れ晴れとした顔で家路につく参加者たち。「麻雀は最高の暇つぶしだね」、クスっと笑いながら口にした参加者、Mさんのひと言が印象的でした。暇つぶしにも真剣に取り組むのが、人生を豊かにする方法かもしれませんね。