【TOPICS】たかがゲーム、されどゲーム。こんなに楽しいリハビリはない。

この記事は、ココロ日和2019年春号に掲載されたものです。

度重なる困難

 前はスーパーの店長としてバリバリ働いていた星野憲一さん。休日には山登りや渓流釣り、天体写真、スキーなどに没頭し、多くの趣味をお持ちでした。
 平成21年3月4日58歳のときに、突然右足に異変を感じ、自ら病院を受信し脳梗塞がみつかりました。脳梗塞は軽いものでしたが、入院治療中に脳出血を発症。左半身麻痺が残り、当初は車椅子での生活でした。病院にて治療後、リハビリ目的にて転院。約1年半のリハビリを経て、自転車に乗ったり、趣味も再開できるまでに回復しました。

救世主ポケモンGOとの出会い

 そんなとき、スマートフォンのアプリゲーム“ポケモンGO”に出会いました。ゲームも趣味の一部だった星野さんは、当時“三国志”をしていましたが、ちょうど飽きていた頃で、新たなゲーム“ポケモンGO”を何の気なしに始めました。やってみると、モンスターを獲る為には、公園や神社へ行き、“ポケスポット”と呼ばれるところまで歩かなければならず、「これはリハビリになる、楽しみながらリハビリができるなんて最高だ!」と夢中になりました。必然的に外出の機会も増え、ポケモンGOを通じての仲間もできました。
 

 

不運再び。奥様との絆。

 しかし、またしても不運が星野さんを襲います。ポケモンのモンスターを獲ろうと、自転車で神社へでかけた帰り道での交通事故。気づいたら病院のベッドの上でした。この事故で、自転車に乗れるほどよくなっていた左半身の麻痺が再燃。星野さんの生きがいであった趣味のほとんどが出来なくなってしまったのです。楽しみにしていた奥様との沖縄旅行の1ヶ月前の事故だったことも、悲しみや悔しさに追い打ちをかけました。
 そんな失意の中、何気なく手にとったスマートフォンのポケモンGOを再び目にし「他の趣味は無理でも、これなら続けられる!」と気づき、心が飛び跳ねる思いだったそうです。ただ、ポケモンGOの帰り道での事故だったので、奥様から反対されるのではないかと心配でした。が、奥様は「何もやらないよりは良い」と星野さんのことを気遣い、現在もポケモンGOの為に送迎などをしてくれます。普段は照れて口には出さないけれど、奥様にはすごく感謝していると星野さんは話してくれました。

湧き出る意欲

 「ポケモンを獲るために歩くことで自然とリハビリができるし、仲間もできる。息子も始めたので話が弾むし毎日お互いのモンスターをプレゼントし合っているんだよ。家族とのコミュニケーションにも役立つんだ。孫も最近興味があるみたいで、来ると一緒にやるんだよ。孫が大きくなって始めたら、孫のために俺がモンスターを獲ってやるんだ。」
「ただのゲームだと思われるけど、こんないい事だらけのゲームは他にはないよ。今の俺にとって生きがいなんだ。」と真っ直ぐな目で、とても素敵な笑顔でお話してくれました。
 20歳の頃から行きたかった屋久島に奥様と行くことを目標に、「これからも楽しみながらリハビリを頑張るよ。」と意欲を燃やしています。
 

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