母の介護─かけがえのない家族の記憶

この記事は、ココロ日和2018年春号に掲載されたものです。

介護とは、家族とは…考えるきっかけに

「齋藤利江のココロ日和展~〝母と娘〟。かけがえのない、家族の記憶。~」を平成30年3月1日から3月4日まで、有鄰館の煉瓦蔵にてCOCO-LO主催で開催しました。ココロ日和の表紙・裏表紙の写真を提供して頂いている桐生市の写真家 齋藤利江さんが撮影してきた家族写真を中心に、未発表作品が約8割を占める130点あまりの写真を展示しました。4日間でおよそ1500名もの人にお越し頂きました。

会場には、11年前に93歳でこの世を去った齋藤さんのお母様・アサさんの様々な表情を写した作品が並びました。働きながらの子育てを全面的にサポートしてくれたお母様。晩年は認知症になったお母様の人生、お母様が孫やひ孫とニュージーランドですごした時間、かけがえのない家族の記憶。展示会をご覧頂いた皆さまに、介護とは、家族とは、を考えて頂くきっかけになったらいいなという思いで、10ヶ月ほどかけて準備を進めてきました。

齋藤利江さんの夢を一番近くで応援してくれた母

齋藤さんは、子どもの頃から写真家を志すも、父の病のために一度は夢を諦めて商売の道へ進みます。お母様は、齋藤さんの仕事や子育てを一番近くで支え続けてくれました。

認知症になったお母様を自宅で介護し、その後施設へ預けることになりますが、その時のお母様の寂しそうな表情や齋藤さんの葛藤、言葉にならない気持ちなど、介護にまつわる様々な感情がたくさんの写真から伝わってきます。

会場ではご自身の家族や介護経験と重なって涙を流す人が多くみられ、「母と過ごした日々を思い出した」「私もあんなおばあちゃんになりたい」など、たくさんの感想が寄せられました。


▲展示写真の1枚。(齋藤利江さん撮影)

トークショーで振り返る家族の思い出

土曜日には代表の雅樂川がコーディネーターとなり、齋藤さんが娘2人とともにアサさんについての思い出を語るトークショーが行われ、大盛況となりました。晩年には認知症が進み、娘のことを認識できなくなったお母様ですが、齋藤さんがカメラを向けるとあどけない笑顔を見せてくれたそうです。「レンズを通して、利江が来たと気づいてくれたのだと思う」と話されていました。介護は辛く悲しいことがあるけれど、嬉しい瞬間もたくさんあったと言います。

 
準備に携わったCOCO-LOスタッフは、膨大な数の写真の中から飾るものを選別したり、どんな飾り方をしたら見る人に伝わるのかを考えたりと、納得のいく写真展ができるよう何度も話し合いを重ねました。写真展の開催はCOCO-LOにとって初めての試みでしたが、齋藤さんを始めとするプロジェクトメンバーの皆さん、ポスターやチラシにご協力頂いた方々、多くの人の力で開催することができました。心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

▲準備中の様子。飾る写真選びについては特に話し合いを重ねました。

今回の写真展を通して、ご来場頂いたそれぞれの方がご自身と重ねてご覧いただけたことを大変嬉しく思います。自分の人生を想う人、家族について考える人、介護をした日々を思い出す人、ニュージーランドの自然に驚いた人、皆さまの心のままに感じて頂けたら幸いです。本当にありがとうございました。

齋藤利江のココロ日和展で展示された写真を各テーマごとに抜粋した図録を販売中。
40点の写真とともに、齋藤さんの思いや当時の気持ちが綴られています。

COCO-LOでご購入が可能です。お気軽にお問い合わせください。(A5版/500円)

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