【気象病解説】予防の方法や対処法、看護師と理学療法士に聞く

気象病という言葉を聞いたことがありますか。気温や気圧など気候の変化によって起きる、さまざまな体の不調の総称です。季節の変わり目や台風シーズンに注意が必要といわれています。予防の方法や対処法について、看護師Kさんと理学療法士Sさんに聞きました。
■取材/阿部奈穂子(オリーブ・アンド・パートナーズ)

季節の変わり目や台風シーズンに起こりやすい

——気象病はどんな症状が多く見られますか。
看護師K 人によってさまざまなのですが、頭痛やめまい、神経痛の悪化、古傷の痛みなどが多いですね。眠気が異常に強くなる人もいます。

——いつごろ、起こりやすいのでしょう。
理学療法士S 三寒四温と言われる春先や梅雨時期、気圧が大きく変わりやすい台風シーズンなどです。1年の半分以上は気象病に影響されるといわれています。

——訪問看護の利用者さんにも気象病に悩む方は多いですか。
看護師K 多いですね。特に、長く関わっている利用者さんは一年のうちで同じ時期に不調を訴えているので、これは気象の影響が大きいなとわかります。
理学療法士S 古傷を持っていらっしゃる方は特に、雨の日に痛いとおっしゃる方が多いですね。私自身も、ヒザの手術をしたことがあって、雨の日に痛みます。「今日は痛いよね」とお互いに話すこともありますね。

大切なのは予防しながら付き合っていくこと

——気象病を直す方法はあるのですか。
看護師K 完治させる方法はないので、予防しながら付き合っていくのがいいと思います。頭痛やめまいなどの症状は「起きそう」と本人がわかる場合が多いんです。例えば頭痛だったら痛みが我慢できなくなる前に、処方されている痛み止めを内服する。それを続けていくことで強い痛みが出現しなくなります。

理学療法士S 自律神経が影響しているので体を冷やさないことも大切です。季節の変わり目で気温が低くなったときに、早めに厚手の靴下に変えるとか。シャワーだけでなく、ぬるめのお風呂にゆったり入るとか。実際、「季節の変わり目によく足がつる」という利用者さんに「なるべくお風呂に入ってみてください」とおすすめしたら、足がつらなくなったという例もあります。

——お風呂に入るのが難しい方はどうしたらいいでしょう。
看護師K 足湯がいいですね。それと合わせて洗面器で手を温めると効果的です。体全体が温まり、リラックスして自律神経も整います。

——気象病は気持ちにも影響するようですね。
看護師K はい。自律神経のバランスが崩れて、落ち込みやイライラなどの症状が現れます。天気の影響で不調が現れているとご自身が認識することで、症状は同じでも気持ちが楽になる場合があります。また、「今の時期は痛みが強くなっている方が他にもいらっしゃいますよ」とお伝えすることで「自分だけじゃないんだ」と安心されることもありますね。
理学療法士S 「また悪くなっちゃった」と不安になられる利用者さんには、「天気や季節が変わると、痛みも変わってくるから大丈夫ですよ」とお伝えするようにしています。

——カラッと晴れた日には気象病は出にくいのですか。
理学療法士S 一概にそうとも言い切れません。その人によりますね。天気が悪くなる前に不調になる人もいれば、雨が降っている時に痛む人もいる。天気が良くなってカラッと晴れてもまだ不調という人もいます。
看護師K ご自身で痛みのメモを取るといいですね。こういう気候のときにこういう症状が出たというメモが積み重なることで、自分の傾向を知ることができます。もちろんご家族がメモを取ってあげるのもいいと思います。

——ほかに注意することはありますか。
看護師K すべての痛みや不調が気象病に当てはまるわけではありません。その裏に大きな病気が隠れている可能性も。症状が強くなったり長引くようなら、迷わず受診してください。

YouTube番組「ココロかいごTV」に登場

看護師Kさん、理学療法士Sさんが気象病について解説する動画が公開されています。
気象病に効果的な耳の運動も披露してくれます。ぜひご覧ください。


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