【ココロ展覧会】優しさが強さに繋がる牛乳パック椅子

この記事は、ココロ日和2019年夏号に掲載されたものです。

 いつも穏やかで優しい笑顔が印象的な前野サダ子さん。今号では、そんな前野さんお手製の〝牛乳パックで作った椅子 〞をご紹介します。

 牛乳パックの椅子作りを始めたきっかけは、ご近所の方に牛乳パック椅子のカバー作りを頼まれたことから。若い頃からミシンの仕事をしていて、布団屋さんにお嫁に来てからもずっとミシンの仕事一筋。ミシンの取り扱いもお手のもので、カバーの材料となる布や綿もすぐに手に入ったので、あっという間に仕上がったそうです。
 そのうち、自分でも一から作ってみようと思い、牛乳パックを集め始めました。はじめはご近所の方に教えてもらいながらいくつか作り、地元の敬老会にプレゼントしたそうです。大変喜ばれ、その後もいろいろな方にプレゼントしています。

 実際に作っているところを見学させていただきました。最後の座る部分の手縫いのところが少し大変そうですが、普段の穏やかな前野さんとは違い、大きなミシンを颯爽とあやつるかっこいい前野さんの姿が見られました。

 牛乳パックを24本使うので 集めるのに時間がかかったり、補強するために生地屋さんで芯をもらい、自分でノコギリで切るなど、苦労することもありますが、作り始めればすぐに出来ると前野さんは言います。

 見た目よりもずっと丈夫でしっかり、いろいろな人に喜ばれる牛乳パック椅子は、どこか前野さんのお人柄に通じるものがあります。
トレデイでも、前野さんの存在が周りを和やかな雰囲気にしてくれます。これからもきっと、前野さんのお人柄も牛乳 パック椅子も、周りの方々を喜ばせることでしょう。

今回の作品のリハビリポイント!
担当作業療法士 山本 香

★カッターで切る
刃物を持つので注意力が必要。
★テープ付け
片手でパックを押さえて片手で貼り付ける両手の協調性の訓練になります。片麻痺の方も麻痺側の手で押さえる練習に。
★パックをまとめる
全体を考えて構成力の練習に。
★カバーづくり
縫う場合は縫い目を確認しながら手を動かすことで手と目の協調性の練習にも。使う人のことを考えながらカバー記事を材質や柄を選ぶことで想像力が養われます。贈り物として差し上げても喜ばれるのでわくわく感が。自分で使うにも、踏み台やこども椅子としても重宝しますので大きな達成感が得られます。

(取材/新井 美恵・黒田 美幸・ 吉羽 雅美)

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