群馬県桐生市の介護施設COCO-LOが創業15周年！雅樂川陽子社長の３つの感謝の秘密とは？

５月９日にCOCO-LOは創業15周年を迎えます。訪問看護ステーションからスタートし、半日タイプのデイサービス「ココロデイサービス」、１日タイプのデイサービス「ココロアットホーム」など事業を拡大し、現在は群馬県内に９つの事業所を運営しています。創業時４人だったスタッフも今は99人に……。代表取締役・雅樂川陽子さんにこの15年間を振り返ってもらいました。

聞き手／阿部奈穂子（オリーブ・アンド・パートナーズ）

――29歳でCOCO-LOを立ち上げ、次々と事業を拡げてこられました。決して順風満帆な道のりではなかったと思います。今の心境をお話しください。

雅樂川　私は初めから、大きな事業を成し遂げようなどという野心は全くなくて。利用者さんやスタッフの希望を叶えたいという想いで、この15年間、事業を展開してきました。
COCO-LOを立ち上げる前は、作業療法士として病院や訪問看護ステーションに勤務していました。そのころから現在までお世話になっている利用者さんもいて、最も長い方は、20年近いお付き合いになります。そういった方々に様々なことを教えていただき、今日を迎えることができたのだなあと、心から感謝しています。

――具体的に、どんなことを教えていただいたのですか？

雅樂川　大きく分けると３つあります。私は３つの感謝と名付けているのですが（笑）。

――３つの感謝、いい言葉ですね。では１つ目の感謝はなんでしょう？

雅樂川　１つ目は「経営者として育ててくれてありがとう」です。
　会社の経営は一人ではできません。スタッフとどう接するのかがとても重要になってきます。でも、20代のころの私は人見知りが激しく、自分の想いを周りの人たちに伝えるのもとても苦手でした。だから、会社も初めのうちはスタッフ間のいざこざが多く、社内の雰囲気も決して良いとは言えませんでした。それを克服できたのは、経営者や大きな会社の管理職をなさっている利用者さんからのアドバイスです。
　「朝礼は社長の言葉を伝える良い機会だから、しっかりと話すことを準備して行いなさい」「たくさん本を読んで、その感想をスタッフに伝えなさい」「スタッフが結婚したり、子どもが生まれたら『おめでとう』。スタッフの家族に何かあったら、『大丈夫？』と心から声をかけなさい」「スタッフとは仕事だけでなく、プライベートでもつながっていなさい」
　私はこれらのアドバイスを一つひとつ実践することで、経営者として育ってきたのだと思っています。

――２つ目の感謝はなんですか？

雅樂川　「家事を教えてくれてありがとう」です。料理も洗濯も苦手な私に、女性の利用者さんや、利用者さんの奥様が親切に教えてくださったのです。切り干し大根やおからの煮方や掃除をするときははたきを使うこと。今まで掃除機をかけることしか知らなかったのですが、先にはたきをかけて上から下へほこりを落とし、それから床を掃除すると部屋が嘘みたいにきれいになることを教えていただいたのも女性の利用者さんです。今では羽はたきと、使い捨てのはたきの２種類を使い分けるほどになりました
　また、私が特に苦手だったのが洗濯です。干すのと畳むのが面倒くさくて……。でも、「ハンガーに全部干して、そのまままた着ればいいじゃない」という利用者さんのアドバイスでだいぶ楽になりました。アイロンかけも大嫌いだったのですが、「干すときにしっかり伸ばして、折りシワもそのときにつけておくと、大抵の洋服はアイロンをかけなくても大丈夫」と教えていただき、今も実践しています。
　この15年間で主婦としてできることが大きく増えました。すべて利用者さんのアドバイスのお陰です。

――最後、３つ目の感謝を教えてください。

雅樂川　「COCO-LOを育ててくれてありがとう」です。弊社には長年、利用し続けてくださるお客様がたくさんいます。訪問や通所など、介護状況に合わせて、利用する事業所を変えてくださる方もいますし、スタッフのことや、その子どものことまで気にかけてくださる方もいます。そういった利用者さんに支えられて、今日まで事業を続けてこられたのです。本当に感謝しています。
　また、COCO-LOでは年間をとおして多くのイベントを行っています。餅つき大会や納涼祭、文化祭をはじめ、お出かけイベントも多いのですが、それらを「やろうよ」と言い出してくれたのも利用者さんです。お出かけイベントのはじまりは、「トロッコ電車に乗ってどこかへ行こうよ」と言ってくださった利用者さんの声でした。実際に行ってみたところ、心から喜んでくださり、私もスタッフも「介護の仕事にとって、これが大切なのだ」と再認識したものです。
　まさにCOCO-LOを育ててくださったのは利用者さんなのだと、いつも感謝しています。