【託児所がある介護事業所】働くママと子どもの距離を縮めるココロ託児所とは?

ココロにはスタッフが無料で利用できる社内託児所があります。生後6ヵ月から3歳までの子どもを預かっています。「社内託児室があるから、安心して出産できた」「育児と仕事の両立ができた」と喜んでいるスタッフが多いとか。そのうえ、この社内託児所には、一般の保育所とは違う、さまざまな工夫があふれているのです。桐生市相生町の「ココロ託児所」に伺い、その様子をリポートします。

取材/阿部奈穂子(オリーブ・アンド・パートナーズ)

安心して育児と仕事を両立できる環境を

 ココロ託児所は平成19年に生まれました。社内に託児所がある職場といえば、大きな病院や大企業がほとんど。当時、10数名のスタッフで成り立っていたココロが社内託児所をつくったのは画期的なことでした。設立した理由は、「子育て中の女性が安心して働ける職場をつくりたい」という同社代表取締役・雅樂川陽子さんの想いがあったから。その想いが実を結び、ココロ託児所は今や、働くママスタッフの心の支えになっています。
 保育所探しは大変です。特に3歳未満児を預かってくれるところは、絶対的に数が少なく、「働きたいのに、子どもの預け先がない」という迷えるママたちが世の中にはたくさんいるのです。そこで、ココロ託児所では生後6ヵ月から3歳の3月になるまでの子どもを預かることにしています。

ママの手づくり弁当でほっこり

 場所は、ココロデイサービスの真向かいに建つプレハブ住宅。中は約15帖の和室にキッチン、トイレ、流し台などが付属しています。
 現在、ここにはスタッフの子どもが5人在籍。それに対し、保育士は山越梨沙さん、川嵜梨沙さん、綿貫和美さんの3人。

つまり、保育士の数が多いのが大きな特長なのです。「子どもたちが家庭で過ごすのと同じような、一人ひとりに寄り添う手厚いケアを目指しています」と3人は声を合わせます。
 朝は、ココロスタッフのママが子どもを連れて登園。子どもを預ける場所が職場に近いということは、子どもと居られる時間が最大限に長いということ。これも社内託児所の良い点です。
毎日、持参するのはママ手づくりのお弁当。毎日のお弁当づくりは大変ですが、子どもにとって、ママの手づくりはやっぱり嬉しいもの。「お子さんの好きなものを中心に詰めるママ、苦手なものにチャレンジしてもらおうと工夫するママ。お弁当にはその家庭の個性が出ますね」と綿貫さんは言います。

利用者さんとの交流も盛ん

 託児所の1日は実にアクティブです。「屋内に居るのは昼食とお昼寝の時間くらい。基本は外遊びです」と山越さん。徒歩圏内に2ヵ所の公園があるため、お天気のいい日は散歩に出掛け、砂場遊びや遊具で体を動かします。また、近くの上毛電鉄富士山下駅に行くことも多いそう。「子どもたちはみんな電車が大好き。踏切が下りたり、電車が走ったりする様子を興味深く見ているんですよ」と川嵜さん。
 公園や駅に行った帰りには、ココロデイサービスやココロアットホームに立ち寄り、利用者さんと交流します。
 「今日も来たね」と、子どもたちを笑顔で迎えてくれる利用者さんたち。中には、「子どもたちの名前を全員覚えている方や、自分の小さかった頃のお話しを聞かせてくださる方もいるんですよ」と綿貫さん。
 また、施設には働くママの姿もあります。「仕事の途中で、子どもの顔を見られると元気になる」「とても嬉しい」という声が寄せられているそうです。

ママが働く事業所で一緒にお誕生日会

 託児所ではイベントも充実しています。お誕生日会は、誕生日を迎える子どものママが勤務する事業所に出向いて行います。これならママも一緒に参加できるので、親子共々、嬉しいことづくめ。みんなで歌を歌い、メッセージを書いた色紙や手作りおもちゃをプレゼントするのだとか。
 年に2回行われる遠足は、電車に乗って桐生が岡遊園地などへ出掛けます。「先日は100円ショップまで、買物ツアーに行きました」と山越さん。子ども5人に保育士3人という手厚い体制なので、普通の保育所では実現できないような遠方へのお出かけも可能なのです。
 そうした子どもたちの様子は毎月発行する「託児だより」で、各事業所やスタッフ、利用者さんに発信します。

 生後6ヵ月から3歳といえばかわいい盛り。「ずっとそばに居たいけれど、そういうわけにはいかない。仕事もしたい」そんなスタッフママたちのニーズに応えるココロ託児所。手づくり弁当、事業所交流、お誕生会などの工夫で、「子どもを預けているけれど、いつも近くに子どもを感じる」というママスタッフが多いとか。
また、何よりも、たくさんの利用者さんたちに見守られて育った子どもたちは、きっと心の優しい大人になるに違いありません。

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