創業以来、有鄰館で初めての開催となった「ココロ文化祭」。利用者さんの作品の一部を、写真とコメントと共に、ご紹介します。
難しい、時間がかかる
でも達成感は抜群です
手芸から民謡まで幅広い趣味を持つ石原茂子さん。文化祭では、3年前から始めたという竹細工のカゴバックを展示してくれました。「1個つくるのに1ヵ月以上かかりました。でも、夜、ボ~とテレビを見ているのが嫌なので、いつも何かしら手を動かしているんですよ」と石原さん。今は毛糸でセーターを編んでいるそうです。また、音楽ステージでは昔懐かしい「野崎小唄」を披露。「上州山歌」という曲で、去年は群馬県民謡民舞連合の大会で優勝し、今年の全国大会に群馬県代表として出場したという石原さん。来年もいい年になるといいですね。
大澤サトコさんは、自分でデザインしたビーズのキーホルダーを出品。「30粒のビーズを五角形に編み、中に鈴を入れました。最後に縫い合わせるところが難しかったけれど、制作は楽しかったです」と感想を話してくれました。
高草木静江さんはクリスマスをテーマにしたシャドウBOXを展示してくれました。「何年やっても完璧にはできないです」とご本人は謙遜なさいますが、いやいや、プロ顔負けの作品です。
夫婦で作品づくりに
取り組んでいます
ご夫婦で作品を出品された方もいます。丸岡義治さん・賢江さんご夫妻です。義治さんは右半身麻痺のため、左手だけで仕上げたという「ぬり絵」を展示。パステルカラーで色彩を統一し、美しい出来栄えです。
奥様の賢江さんは、優しい色合いのカゴを4品、出展しました。「カゴの丸みを出すのに苦労しました」とのこと。
ご夫婦揃って、作品づくりに取り組むほほ笑ましい光景が目に浮かびます。
優しさがあふれ出す
お人形の数々
可愛らしいお人形を出品してくれた利用者さんも目立ちました。岡田鈴子さんは「孫の成長を願ってつくりました」という雛人形を展示。あどけなくて純粋な雛人形の表情は、お孫さんを思い浮かべながら作業したのでしょうか。
3体のちりめん人形をつくってくれたのは湯浅良子さん。お揃いのおかっぱ頭とまん丸いフォルムがとてもキュートです。「着物の着せ方を間違えないようにつくりました」とメッセージを寄せてくれました。
「私は右半身が麻痺しています。でもココロでリハビリをしています。ココロのスタッフの方がとてもやさしくして下さり、とてもうれしいです。良くは出来ていない作品ですが、笑って見てください」という自筆の手紙と共に、手づくりの雛人形のほか、押し花、ショルダーバッグを出品してくれたのは加藤ツヤ子さん。細かなパーツを組み合わせる雛人形は、さぞかしご苦労なさってつくられたのでしょう。加藤さんの想いがこもった作品は、見る人の心を打ちます。
お花は女性にとって
永遠のテーマです
お花をモチーフにした作品も人気でした。籾山百合子さんの「春を待つ」と題したパッチワーク。黒い下地に、ピンクの梅の花を大胆に描いた図柄は、ひときわ目を引きました。
「指先の運動のためにつくりました」と、岡田鈴子さんはアジサイのフェルト飾りを出品。フェルトとビーズの組み合わせがとても可愛らしく、アジサイの季節が待ち遠しくなりました。
和紙を使い、華麗なバラの造花をつくってくれたのは、川島晏子さん。幾重にも重なった花びらと、白からピンクへのグラデーションを生かした色彩が芸術的です。
日本の伝統作品は
やはり美しい
日本の伝統を感じさせる作品の数々も印象的でした。富井博さんがつくった浅草雷門の模型。とても精密に組み立てられています。「製作日数は約1ヵ月。屋根の反りを表現するのが大変でした」とコメント。
芯に糸を巻いていき、真ん丸に仕上げる手毬。加藤冨美子さんは色とりどりの手毬10数個を飾り、あでやかな空間をつくり上げてくれました。
色紙に日本の原風景を描いた塚本アキさんの墨絵作品も圧巻でした。山や谷、雪をかぶった民家など、塚本さんの自然を見つめる優しいまなざしを感じさせます。
下山五郎さんはまな板をくりぬいて、彫刻作品を出品。心、笑顔という2つの作品を仕上げてくれました。周りの人の心を大切にし、いつも笑顔でいられたら、こんなに素晴らしいことはありません。力強い下山さんの作品から勇気をもらった人も多いことでしょう。
文化祭当日に展示された作品は300点以上。秀作、力作揃いでした。そしてすべての作品に、利用者さんの想いが込められていました。利用者様が作るたくさんの心温まる作品に出合えることが、今後も楽しみで仕方ありません。