「家族」をテーマにしたカフェが群馬県前橋市にできたと聞き、早速伺うことにしました。もちろん、車イスを持参です。カフェの名は「アメイジンググレイスカフェ」。「アメイジンググレイス」という結婚式場の一角に、今年1月にオープンしました。車イスでも楽しめるかしら?料理やスイーツのお味は?徹底検証してきました。
■取材・撮影/阿部奈穂子(オリーブ・アンド・パートナーズ)
200メートルの散歩道の先には?
結婚式は幸せいっぱいの瞬間。でも歳月を重ねるうちに、子育てや家族の悩みを持つ人は少なくありません。そこで「式の日の気持ちを思い出す場所、家族の絆を深める場所として利用してほしい。そんな想いで、このカフェをつくったのです」、アメイジンググレイス社長の萩原隆史さんは言います。その言葉どおり、幼い子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、幅広い年齢層の人が利用できるよう、施設内は優しい工夫にあふれていました。
敷地はかなり広いです。駐車場からカフェまでは約200メートルの平坦な散策路が続いています。道幅はゆったりしていて車イスでの移動はスムーズ。途中、坂道もありますが、なだらかなのでそれほど問題はないでしょう。
道のほとりには花壇があったり、利根川の流れを臨めるスポットがあったり……。思いがけず、素敵なお散歩を楽しめちゃいました。
聞けば、3月はチューリップやミモザ、パンジー、4月は桜、5月はバラ。月替わりの花が敷地内を彩るそうです。
ヨーロピアンな非日常空間が広がる
前方にオレンジ色の看板が見えてきます。ここがお目当てのカフェです。重厚な扉を開き、中へ入ってみます。入口付近に一切段差はないのでご安心を。
一歩踏み込むと、「わー、素敵!」、ヨーロッパ調のインテリアに包まれた特別感あふれる空間が広がります。入口付近は大理石調のフロア、階段を3段下りると木目のフロアと2段構成。車イスや足の不自由な人は、階段の上り下りが必要ない、入口付近の席を予約することがオススメです。事前に電話しておきましょう。
ちょっとおしゃれして出かけられる、非日常を味わえるカフェって案外少ないもの。ここなら家族の記念日のお祝いにもピッタリです。しかも、高齢者や障害者に対する接客サービスのプロ「ハートフルアドバイザー」の資格を持つスタッフ・萩原舞さんもいるので安心。
小麦アレルギーの人でも安心
料理とスイーツの人気メニューを伺いました。ランチ人気ナンバー1は「サラダ&キッシュプレート」(1,320円)。スイーツの人気ナンバー1は「米粉のスフレパンケーキ」(1,210円)とのこと。
そこで、今回は米粉のスフレパンケーキをいただくことに……。「焼きあがるのに25分間かかりますので、少しお待ちくださいね」と萩原社長。期待に胸が高鳴ります。そして、運ばれてきた瞬間、目を奪われてしまいました。フワフワの雲みたいな2つのパンケーキの間に、小川が流れるように生クリームをトッピング。そのうえには食べられる花・エディブルフラワーが散りばめられて、まさに春爛漫です。
このケーキをつくったのは萩原社長の奥様・亜紀さんです。「モッチリとフワリ、二つの食感を出すために米粉を使いました。また、小麦アレルギーの方にも召し上がっていただきたいという想いもありました」と言います。フォークを入れると、シュワシュワっと気泡が弾ける音が聞こえます。
横浜の有名結婚式場のパティシエとして修業を積んだという亜紀さん。味はもちろんのこと、写真映えするビジュアルをつくり出す腕はさすがです。
この3月から、3段皿のアフタヌーンティー(3300円)もメニューに登場しました。ヨーロピアンな空間でいただくアフタヌーンティー。なんて、贅沢なんでしょう。
ちなみにアフタヌーンティーは5日前までに要予約。11時~、14時~の二部制だそうです。
車イス用トイレも完備
最後はトイレのチェックです。入口からほど近い場所に、車イス用の広いトイレが設備されていました。真っ白い清潔な空間で、手すりも完備。
駐車場からカフェの入口、テーブル席、そしてこのトイレまですべてバリアフリーでストレスなく過ごせそうです。
コロナ禍とはいえ、春はお祝いごとが多い季節。大規模なパーティーは当分、無理ですが、ソーシャルディスタンスを保ちながら、家族だけの小さな食事会を開くのは悪いことではありません。そんな場所として、このカフェはピッタリなのではないでしょうか。
そして、ぜひ絶品の米粉のスフレパンケーキを召しあがってみてください。
「パティスリーアメイジンググレイス カフェ」