群馬県庁の若手女性職員によるイベントで
雅楽川社長が講演
群馬県桐生市の古民家カフェ「アンカープラス」で2月15日、「わかもの×キャリアプロジェクトぐんま」による第一弾イベントが開かれました。ゲスト講師としてCOCO-LO社長の雅楽川陽子さんが登壇し、「働きやすさを本気で考えました~COCO-LO流仕事の取り組み方~」と題して講演。グループディスカッションや懇親会も行われ、大いに盛り上がりました。当日の様子をリポートします。
取材/阿部 奈穂子(オリーブ・アンド・パートナーズ)
仕事だけでなく、人間性や生き方を磨きたい
「わかもの×キャリアプロジェクトぐんま」は今年1月、群馬県庁の入社3年目の女性職員3人が立ち上げたプロジェクトです。
「ワークライフバランスやキャリアデザインについて学びたい。仕事の経験を積むだけでなく、人間性や生き方を磨き、より豊かな人生を築いていきたい、という主旨でスタートしました」と、主宰者の一人・尾身真純さんは言います。
記念すべき第一弾のイベントとして、COCO-LOの雅楽川社長の講演会を企画した理由は、「スタッフに寄り添った仕組みをつくり、効率よく働くための先進的な取り組みを進めている企業のトップの話を聞きたい」とのこと。
雅楽川社長は1児の母でもあります。「今後、結婚や出産などのライフイベントを迎えるであろう私たちにとって、育児と仕事の両立は大きな課題です。講演の中で何か、ヒントをもらえればと思いました」と尾身さんは話します。
講演のオファーを受けた雅楽川社長は「自分が社会人3年目のころは、ワークライフバランスやキャリアデザインといった言葉もなければ、そんなことを考える余裕もありませんでした。今の若者はしっかりしている、期待ができると思いましたね」と微笑みます。
お互い様の風土を社内に根付かせる
当日はフェイスブックでの公募などを通じて、定員の30人を超える参加者が集い、会場である古民家カフェ「プラスアンカー」は満員状態。スタート前から熱気にあふれています。
参加者の年齢層は20代~40代。公務員、会社員、フリーランスなど年齢も職業も異なる人々が一堂に、雅楽川社長の言葉に耳を傾けました。
雅楽川社長はCOCO-LOで実践している仕組みや制度を紹介した後、自身がキャリアを築いてきた中で直面したターニングポイントについて語りました。
2005年、訪問看護ステーションとして起業した時の課題は超人材不足。
「名もない小さな会社に入社してくれる看護師はほとんど居なかった。そのため、子育て中で仕事から離れている看護師を雇用し、彼女たちが働きやすい勤務体制や休暇制度をつくろうと考えました。そのためには“お互い様の風土”を社内に根付かせることが重要でした」と話します。
その後も女性職場ならではのケンカや派閥づくり、仕事と家庭の両立がうまくできず離職していくスタッフの増加などに直面。「いろいろな悩みが重なって頭の中がいっぱいになったときは、マインドマップで整理し、PDCAシートを使って実行していきました」と雅楽川社長流の問題解決方法を具体的に披露しました。
心地よい環境は自分でつくる
COCO-LOにとって一番大きな変化は2012年、トップダウンだった組織から、エンパワメントな組織に改編したこと。社内勉強会や社長面談などを通じて、現場で考え、行動することを、一人ひとりのスタッフに伝え続けたと言います。
また、名刺大のカードに社内で気になったこととその解決法を書く「気付きカード」を導入。カードを提出した枚数が賞与に反映する仕組みもつくりました。これは、スタッフの気付く力を大きく育て、その成果が今の自立した会社につながっているのだそう。
壁にぶつかっては解決方法を考え、実践していくことを繰り返してきた雅楽川社長。「仕事も暮らしも、心地よいと感じる環境を自分でつくることが大切。問題があっても他人や周囲のせいにせず、まずは自分自身を振り返ってみましょう。そこから解決のヒントは生まれてきます」とメッセージを送りました。
組織の中では鈍感力を磨くことも重要
第二部は、雅楽川社長の講演を受けて、参加者が5~6人のグループをつくり、意見交換を行いました。
その中で、「COCO-LOの仕組みや制度は素晴らしい。それは、お互い様の風土が社内に根付いているからこそ、うまく回っているのではないか」という声が多く聞かれました。
イベントの最後に雅楽川社長の言った言葉が印象的でした。
「組織の中では、鈍感になることが大切。周囲が何か言っても、『まあいいや』と開き直って、自分のやりたいことをやる。そのうちに周りは慣れてくるものです」
現代の社会でも、女性が仕事を続けていくうえでは、さまざまな軋轢があります。いちいち周りの声に振り回されていては、仕事が非効率的になったり、悪くすると、心の病にかかることも……。鈍感力を磨く、これもキャリアを築いていくうえでの大きな武器になりそうです。
今日のファッションチェック!
桐生市街地にある古民家カフェが会場ということで、この日の雅楽川社長は、桐生市のファッションで全身を包みました。ワンピースは「リップル洋品店」、ピアスは「トリプルO」、ハイヒールは「クィーン堂」の商品。すべて桐生市に本社を持つショップです。