【TOPICS】やる前から諦めるのは好きじゃない〜成人式までに立たせてあげたい!

この記事は、ココロ日和2019年秋号に掲載されたものです。

 今年28歳になる中田舞子さん。中学三年生の時に巻き込まれてしまった交通事故の後遺症で、言語障がいと四肢の運動障がいがあり、文字盤を使ってコミュニケーションをとったり、特殊な車椅子を使用し生活されています。いつも自分の気持ちにまっすぐで、何事にも全力投球。一生懸命リハビリにとりくむ姿が印象的です。
 そんな舞子さんの為、20歳の時にご家族自らが企画された成人式について、道のりや大変だったこと、またそれをどのように乗り越えていったのかお母様に伺いました。

ー成人式までの道のりを聞かせてください。

「事故後最初の一年は、今後どうなるのかと不安で毎日泣いていました。でも、同じ境遇の仲間のおかげでそこから抜け出せたんです。みんな前向きでしたから、くよくよしていられませんでした。抜け出してからは、事故前の写真を見ては“この姿に戻すぞ”と気持ちを気持ちを奮い立たせて眼の前の目標に向かうだけでした。この子は、最初の子だし女の子。成人式は一生に一度、はたちの時は今しかないので、しっかり祝ってあげたかったんです。」

 市の成人式に車椅子で出席後、予約していた別の会場で、舞子さんのためだけの手づくり成人式が行われました。式場へは、お母様と叔父様が付き添い、特殊な歩行器で入場しました。参加された方は、「事故後に意識が無かった頃、立てなかった頃を知っているので、入場する姿を見て涙が出ました。」と話してくれました。その後、みんなでゲームをしたり、お互い記念写真を撮ったり、式は和やかに進んだそうです。

ー成人式を自ら企画し実行する際に大変だったことは何ですか。

「企画に関しては得意な知人に協力してもらえました。大変だったことは・・・着物選びや着付け、髪のセットはパックで用意される為、前年の成人式が終わった時点で予約が始まるんです。私達が動き出した頃はもう予約が埋まっていて、着付けをしてくれる人がいなかったことですね。当時お世話になっていた病院で着付けができる看護師さんがいないか探してみましたが、やはり難しかったです。最終的には私たちがしたのですが、前もって着付け屋さんでビデオを撮らせてもらって勉強し、当日は家族3人がかりで着付けしました。なので写真をよく見るとズレているかもしれません(笑)。病院にも事前に袴を持っていき、履いた状態で立つ練習もしました。」

 企画した当初は周囲の方からできるはずがないと言われることもあったそうです。その状況の中で困難を乗り越えた時はどんな心境だったのでしょうか。すると「やる前から諦めるのは好きじゃないんです。」と答えてくれました。

「やる前方諦めるのは好きじゃない。」この言葉は普段のリハビリの目標を相談する時にもしばしばお聞きします。強い説得力があります。今回の取材で、いつも全力投球のお二人から、自分の目標にまっすぐに、諦めない事の大切さを教えていただきました。

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