「今日のごはんは何?」
「おいしかったよ、ごちそうさま」
1日デイのガーデンで利用者さんが一番楽しみにしているのが、管理栄養士さんが作るお昼ごはんの時間です。アンケートでも毎年1位を獲得しているという人気の食事。その秘密を探りに、ガーデンへ向かいました。
ガーデンでは毎日30人以上の食事を献立作成から調理、盛り付け、片付けまで、すべて担当の管理栄養士さんが一人でこなしています。おやつまでちゃんと手作りするエキスパート!
◇みんなでわいわい、お昼ごはん
おじゃましたのはお昼少し前、食事の準備に一番忙しい時間でした。厨房からはすでにおいしそうな匂いがただよっています。
利用者さんは午前のリハビリがだいたい終わって、みなさんくつろぎの時間。食事をおいしく食べるための口腔体操のあと、みんなそろっていただきます!
スタッフによる配膳がはじまると、「いただきます」が待ちきれない方も。食事の時間はやっぱり特別ですね。真剣に黙々と食べる人、おしゃべりに夢中になってしまう人、ペースはそれぞれですが、みなさんとても楽しそう。スタッフの方も利用者さんとの会話を楽しんでいて、あちこちで笑い声が上がります。
取材日のごはんは、ひじきの炊き込みご飯、もやしと豚肉の中華スープ、大根と小松菜の煮物、ゆで卵、みかんの5品。
ふんわりとやさしく炊きあがったご飯、ひじきと人参の甘み、ちょっぴりこくと深みを感じるのは隠し味のシーチキン! なのだそう。たんぱく質や油脂で、うま味や満足感をこっそりプラスしているところが、ガーデンのやさしい工夫。
◇食事の前後について
食事を楽しむには、お口の健康も大事です。食事の前におこなう口腔体操のほかにも、食後には歯科衛生士の資格を持つスタッフが口腔ケアを受け持ち、楽しく長く食事がとれるよう取り組んでいます。
◇毎日のごはんを大切に
「何気ない日常の、毎日の食事を大切にしています。毎日食べ続けるごはんだから特別なものではなくて、ほぼほぼ食べてもらえることを目指しています。味の好みは本当に人それぞれ。体調のこともありますし、食べられる量も違います。大勢で集まって、わいわい楽しく食べてもらえればうれしいです。」と管理栄養士さん。
確かに、毎日の食事ってまあまあかなというくらいが一番大事なのかもしれません。肩ひじ張らない自然体な考えが、おいしい食事の時間を作り出すのですね。
◇ハレの日のごはん
旬の食材を使い、四季を感じるご飯を心待ちにする利用者さんも多いのだそう。
いつもと違った器に彩りよく盛り付けたり、ランチョンマットを敷いたり。内容もお赤飯や粕汁など少し豪華にして、特別な日の食事を楽しめるよう工夫しているそうです。
◇おいしく食べてもらうために
「安全においしく食べてもらうために、食べやすいよう切り方や固さに気をつけています。また、食欲が出るように、色彩や盛り付けにも心配りしています」
もちろん刻み食など、利用者さん一人ひとりの状態にあわせて対応もしています。
季節の食材を取り入れ、栄養のバランスを考えた食事は、
「お母さんの味だよね。どれもおいしいよ」
「栄養満点でおいしくて、ありがたいです」と、利用者さんからも大好評。
スタッフからも
「管理栄養士がお休みのときはみなさんがっかりするんですよ。ガーデンで作った食事でなく、仕出しのお弁当になってしまうので。ガーデンのアンケートでも、食事は一番の人気です」
「食事を通じて利用者さんとコミュニケーションを取る管理栄養士さん。食事のこと以外でも目配り、気配りされていてすごいなと思います。後ろに目がついているのではないかと思うこともよくあります」
「ごはんが余ったときは私たちスタッフも少し食べられるんです。それが楽しみ!」
などなど、利用者さんだけでなくスタッフからも愛される管理栄養士さんの存在が印象的でした。
ガーデンでの食事を一手に引き受けている管理栄養士さん。
「おいしい食事を提供するためには、まず自分の健康が大事。
睡眠をしっかりとる、美味しいものを食べる。
ストレスをためないように気をつけて、これからも元気に働きたいです」とはじけるような笑顔で答えていただきました。
おいしい食事とステキな笑顔の源は、自分自身もちゃんと大切にしているからなのですね。
楽しくおいしく食事を食べてほしい。
そんなガーデンスタッフの想いは、さらりとしていて、でもとてもあたたかい。
ガーデンには、ごはんをおいしくするための工夫や想いがたくさんあるのだと思いました。