【取材】人に寄り添い、喜びを共有できる仕事

関本 悠貴
ココロ勤務歴:10年
所属:訪問看護ステーションココロ
職種:作業療法士

- 作業療法士とは実際にどんな仕事をしているのですか?

関本 生活におけるあらゆることの治療や支援に携わる仕事です。

心身に障害などがあってやりたいことができない人に対して、どうしたらできるようになるかを考え、そのためには何でもします。体がうまく動くように練習したり、硬くなった筋肉をほぐしたり筋トレをしたり。こうすればよくなるといった具体的なアドバイス、道具を工夫したり、自宅内の環境を整えるなど、さまざまな支援をしています。

ご家族へのフォローも大切な仕事です。

- この仕事を選んだきっかけ・想いなどがあれば教えてください。

関本 もともと音楽が好きでピアノをやっていました。作業療法士になろうと思ったのは、得意なことや好きな音楽を活かして人の役に立てる仕事だと知ったからです。地元の群馬大学に専攻コースがあり学べたことも大きかったですね。

結局、現在音楽はほとんど使ってないのですが、人の役に立てる仕事としては最高だと思います。利用者さんと寄り添える時間が多く持てること、できなかったことができるようになったときの喜びを共有、共感できることが仕事のモチベーションにつながっています。

- 活躍の場として、ココロを選んだのは?

関本 訪問看護でリハビリまでやっているところはめずらしいんです。うちは社長も作業療法士ですし。ココロはホームページなどを見て、アットホームな感じがいいなと思いました。もともと自宅にうかがって行うリハビリに興味がありました。

相手の場所で、相手の時間に寄り添ってリハビリができるのは、訪問だけですよね。

 
 

家族へのケアが笑顔につながる

- 利用者さんとの思い出深いエピソードがありますか?

関本 私が訪問するのも最初は気分が乗らないという、ほぼ寝たきりの利用者さんがいました。旦那さんがひとりでとてもよく介護をされていて、リハビリ後に毎回少しお話をするのが恒例でした。あるとき介護で手首が痛くなると聞いたのでサポーターを購入してお渡ししたところ、とても喜んでいただき、より旦那さんとお話するようになっていったんです。

この出来事をきっかけにご本人との距離もだんだんと縮まって、冗談を言い合ったり、昔の旦那さんの話をしたり、笑顔も見られるようになりました。

-関本さんの心配り、ご夫婦には心強く嬉しかったことでしょうね。サポーター以外にも利用者さんにあった福祉用具を考えたり、ご自分で作ったりもされると聞きましたが?

関本 脳性マヒで手足がうまく使えない人から、「ストローが押さえられず飲むとき大変だ」と聞き、ペンのキャップを利用してカップに固定できるようなストローホルダーを作ったことがあります。リウマチで指先が不自由な人に、100均の髪どめをばらしてボタン通しを作ったり。

ほかにも、片マヒの人でも使える爪切り、腕時計の取り外しができる装置、頭で押せるナースコールなど、身近なものを使ってその人一人ひとりに合った用具を作っています。みなさんとても困っているので、何かしてあげるととても喜ばれますね。

 
 

好きな人のことってもっともっと知りたいと思いませんか?

- ココロでの仕事を通じて学んだこと、大切にしていることは何ですか?

関本 訪問だから、リハビリだからできること。利用者さんの立場に立って寄り添って、同じ時間を過ごしながら一緒に解決策を探っていくことでしょうか。

訪問していると、利用者さんのことをいろいろ知りたくなります。好きな人のことを全部知りたくなるみたいに。そして、その人のために何かしてあげたくなるんです。モチベーションも自然と上がるんですよね。多分、そういうことを大事にしていると思います。毎日好きな人に会えるので仕事は楽しいです。

- これからの抱負を教えてください。

関本 いろいろな山を越えてきたと思うので、これからは現状維持でしょうか。訪問の仕事を一生続けていきたいと思っていますね。人のために、利用者さんに感謝される作業療法士でいたいと思います。

- 利用者さんへ一言メッセージをお願いします

関本 何でもしてあげたいので、何でもやります。作業療法士って何でもありの仕事だと思うので。困っていることがあれば言ってほしいと思います。もちろん実際できないこともあるんですけど、無理だとかダメだとか、そういうことを言いたくないんですね。課題に向き合って考えていくので、まずは本当に何でも言ってもらいたいです。


笑顔がすてきな関本さん。照れくさそうにしながらも、ひとつひとつ言葉を選んで想いを話してくれました。利用者さんのことをいつも第一に考えるやさしさ、情熱と行動力がとても頼もしかったです。今後はどんな福祉用具が生み出されていくのか、とても楽しみですね。 

Writer

空織

フリーランス。
人と人をつなぐ文章を心がけています。

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